Eric Johnson「Venus Isle」収録「Venus Isle」

Eric Johnsonとの出会いは忘れもしない1996年である。
この年のギターマガジン9月号の表紙になっていたことがきっかけだ。そもそもなぜこのギターマガジンを買ったかというと、当時師事していた北垣雅則先生の講座が掲載されるという事で買ったのだ。
この記事は基本的にはソロギターなのだが、先生独自のハーモナイズがされており、綺麗なボイシングなのだが難易度は高い。1曲弾けるようになるのにけっこう時間かかったのを覚えている。
その時にギターマガジンなるものを初めて買ったので隅から隅まで良く読んだと思う。
一番印象に残ったのが表紙になっていて長文インタビューだったエリック。
さっそくアルバムを買いにCDショップへ。(最近はこの行動に出ずとも配信やら動画サイトで済ませられる、そりゃCD売れなくなるわな・・・)
楽しみにCDプレイヤーに入れてみるとそれはそれは素晴らしい音色のギターが。
ガキの頃からギターの音色には非常にこだわりを持っていた。とても生意気なガキだったと思う。
それだけにインタビュー記事のエリックの音色に対するこだわりに興味を持ったのだと思う。
彼のトーンは「バイオリントーン」と呼ばれるバイオリンのような暖かいリードトーンと、まるでクリスタルを想像させるような透明感のあるクリーントーンがウリだ。
まずこの素晴らしいクリーントーンの重要点は彼のコードボイシングと弾き方にあると思う。
彼はいわゆる「コード理論」はあまり知らない(らしい)。理屈よりも自分で選択した音と音を重ねてコードを形成している。結果として普通のギタリストが使わないようなとてもユニークなコードになっている。「コード」を「和音」としてではなく「メロディ」の組み合わせという考え方は非常に独自性のある考え方だが、実践するのは相当に難しい。これを歌いながらやってしまうのだから恐ろしい。
弾き方も弦を6弦から1弦に向かって「ジャラーン」と弾き下ろすより、ピック&中指&薬指で各弦を同時にヒットするスタイルを多様している。彼いわく「ピアノスタイル」らしい。ストロークのように各弦が鳴るまでに時間差がなく、同時に音が出るこの奏法も非常に重要だろう。
独自のボイシングのクリーントーンはt.c.electronicのコーラスを使い、2台のFender Deluxe Reverbをステレオで鳴らしている。来日時にアンプ直の音を聴く機会に恵まれたが本当に透き通るような綺麗なトーンだった。
そしてリードトーン。この美しい音色の正体はもちろん彼自身の指なのだが、ファズを使っている事は誰もが驚くだろう。一般的にファズというのは汚い音というか轟音というか、ぶっ飛びたい時に使うエフェクターだ。それをこんな美しい音色に使うなんて。。。
その理由はジミヘンドリックスだ。彼ワイルドなファズサウンドを聴いて「美しい」と感じたらしい。特にジミヘンのギターを「美しい」と形容するギタリストはかなりの少数派だと思う。
そのジミヘンドリックスやクリーム時代のエリッククラプトンのトーンを研究した結果が美しいと称されるバイオリントーンだということだ。
もちろんリードトーンには他にもチューブドライバーやチューブスクリーマー等のオーバードライブも使用しているが、私が好きなのは最近のファズフェイスの音。リードサウンドがファズばかりになったのはAlien Love Childあたりからでそれ以前はTube Driverの方が多かったと思う。その頃は全体的にリバーブが深い。一般的にバイオリントーンとされているのはTube Driverの方だろう。まあどの音色でも彼独特の綺麗な音には変わりないのだが・・・。
そしてさらにエリックの特徴として前述のファズをマーシャルアンプで鳴らして作った
音をマイクで拾い、エコーをかけている。これによりさらに奥行きのある音色になる訳だ。
さらにさらに、エリックはエフェクター同士の間隔や電池の種類にもこだわる。電池の違いを音色で聞き分ける話は有名だ。スピーカーキャビネットに4つスピーカーが入っていたら、その4つ同士が調和するまで同じ型番のスピーカーをいくつでも入れ替えて試すそうだ。もはや常人には理解できない域である。。。
近年は音色のこだわりよりもプレイに専念したいとの事でビンテージギターを置き新しく作った自身のモデルに持ち替え、日によって調子の違うビンテージエフェクターを一部最新のものに取り替えたりと以前より寛大になったと聞いている。まあ結局は彼の指から生み出る音色は彼の音色でしかないのだから。ほとんど機材の話になってしまったが、「Venus Isle」はクリーントーンもリードトーンも堪能できるし彼のリードボーカルも聴くことができる。エリックはエレキ、アコギ、歌、ピアノ、全て素晴らしい。実際にライブで観たがこんなにピアノの上手いギタリストはいないと思う。1つだけ注文を出すとしたら、アルバム発売のスパンが長すぎる。(笑) 作っても気に入らないと全てボツにしてしまうからだろう。セールスの事は一切考えていなく、自分の作品にプライドをもっている証だろう。
でも、まるで当たり前のように「9年ぶりのオリジナルアルバム」とか言わないでほしい。。。

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